散歩中に咲く花を見て、我が子が「5月だから、あの花はサツキじゃない?」と一言。子供の知識に感心しつつも、「皐月(さつき)」の本当の意味を説明できますか?1月「睦月(むつき)」、10月「神無月(かんなづき)」など、日本には古くから伝わる「和風月名」がありますが、これらはあくまで旧暦の呼び名。実は現代の暦とは1~2ヶ月も季節感がずれているのです。
この記事では、12ヶ月すべての和風月名の由来と、季節感をわかりやすく解説します。「皐月」が田植えの月だったことや、覚え方のコツもご紹介。知っていると一目置かれる美しい季節の言葉を、学び直してみませんか?
5月は「皐月(さつき)」って、小学4年生で習います
我が子と散歩中、サツキ?ツツジ?って花を見つけました。私がどちらか考えていると、

え、サツキじゃない!? だって5月だし。
と。5月は「さつき」って知っているんだと感心してしまいました。
我が子が5月を「さつき」と知っていると私が知った記事はこちら。
4年生で習ったというので、教科書を見てみると。確かに、春夏秋冬と4回に分けて、季節のことと共に和風月名も記載があります。

ただ、旧暦での月の呼び名だとは、説明されていないようです。そして、この「皐月」などの呼び名は、「和風月名」と、なんかカッコイイ名前が付いています。
和風月名(わふうげつめい)とは、旧暦で使われていた月の呼び名
和風月名(わふうげつめい)とは、今の1月、2月…といった数字の月の呼び方とは別に、日本に古くから伝わる旧暦の月の呼び名のことです。
今のカレンダー(新暦)とは1〜2ヶ月ほどのずれがあるため、季節感が少し異なる場合があります。しかし、それぞれの月が持つ季節の特徴や行事、風物詩などを美しく表現した言葉であり、現代でも文章や会話の中で、季節感を出すために用いられることがあります。
パっと答えることができると、カッコイイ!
和風月名の特徴と由来
和風月名は、その月の自然現象や農作業、人々の暮らしぶりなどを反映したものが多く、それぞれの名前に豊かな意味が込められています。由来には諸説あるものが多いですが、代表的なものをご紹介します。
1月:睦月(むつき)
由来 | ・お正月に家族や親戚が集まって、仲睦まじく過ごす「睦び月(むつびつき)」が転じたという説が有力です。 ・稲の実を初めて水に浸す「実月(むつき)」という説もあります。 |
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旧暦の季節感 | 新暦の1月下旬から3月上旬頃 旧暦では春の始まりを感じる頃です。 |
2月:如月(きさらぎ)
由来 | ・まだ寒さが厳しく、衣を更に重ね着する「衣更着(きさらぎ)」が転じたという説が有力です。 ・草木が芽吹き始める「草木張月(くさきはりづき)」が転じたという説もあります。 |
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旧暦の季節感 | 新暦の2月下旬から4月上旬頃 寒さが残る時期です。 |
3月:弥生(やよい)
由来 | ・草木が「弥生い茂る(いやおいしげる)」、つまりますます生い茂る月という意味から来ています。「弥(いや)」は「いよいよ」「生(おい)」は「生い茂る」 | |
旧暦の季節感 | 新暦の3月下旬から5月上旬頃 本格的な春の訪れを感じる頃です。 |
4月:卯月(うづき)
由来 | ・卯の花(ウツギ)が咲き始める月であることから「卯月」とされたという説が有力です。 ・田植えをする「植月(うつき)」が転じたという説もあります。 ・十二支の4番目が「卯」であることから「卯月」となったという説もあります。 |
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旧暦の季節感 | 新暦の4月下旬から6月上旬頃 新緑が眩しい頃です。 |
5月:皐月(さつき)
由来 | ・田植えをする「早苗月(さなえづき)」が短くなったものという説が有力です。 ・「皐」という漢字には「神に捧げる稲」という意味があります。 ・水田を意味する古語「さ」から「さつき」になったという説もあります。 |
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旧暦の季節感 | 新暦の5月下旬から7月上旬頃 田植えの時期です。 |
6月:水無月(みなづき/みなつき)
由来 | ・「無」は「の」を意味する助詞で、「水の月」という意味で、田んぼに水を引く月、あるいは梅雨が明け、水が涸れる月といった説があります。 | ![]() |
旧暦の季節感 | 新暦の6月下旬から8月上旬頃 梅雨明けから本格的な夏になる頃です。 |
7月:文月(ふみづき/ふづき)
由来 | ・七夕の行事で短冊に文字や詩を書き、書道の上達を願う「文披月(ふみひろげつき)」が転じたという説があります。 ・稲の穂が実る「穂含月(ほふみづき)」が転じたという説があります。 |
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旧暦の季節感 | 新暦の7月下旬から9月上旬頃 稲の生長が進む頃です。 |
8月:葉月(はづき/はつき)
由来 | ・木々の葉が紅葉し、落ち始める「葉落ち月(はおちづき)」が転じたという説が有力です。 ・稲の穂が張る月「穂張り月(ほはりづき)」が転じたという説があります。 |
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旧暦の季節感 | 新暦の8月下旬から10月上旬頃 少しずつ秋の気配が感じられる頃です。 |
9月:長月(ながつき/ながづき)
由来 | ・秋の夜が長くなることから「夜長月(よながづき)」が略されたという説が有力です。 ・秋の長雨の季節を表す「長雨月(ながめづき)」という説もあります。 |
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旧暦の季節感 | 新暦の9月下旬から11月上旬頃 秋の深まりを感じる頃です。 |
10月:神無月(かんなづき/かみなしづき)
由来 | ・全国各地の神々が島根県の出雲大社に集まるため、他の地域には神様がいなくなる「神無き月」とする俗説が有名です。 ・「神の月」であり、「無」は「の」を意味する助詞で、神事を行う月という意味合いが強いという説が有力です。 ・出雲地方では「神在月(かみありづき)」と呼ばれます。 |
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旧暦の季節感 | 新暦の10月下旬から12月上旬頃 紅葉が見頃となる頃です。 |
11月:霜月(しもつき)
由来 | ・霜が降り始める月であることから、「霜降月(しもふりつき)」が転じたという説が有力です。 ・収穫を終え、食物をしまう月「食物月(おしものづき)」が転じたという説や、「凋む月(しぼむつき)」が転じたという説もあります。 |
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旧暦の季節感 | 新暦の11月下旬から1月上旬頃 いよいよ冬本番となる頃です。 |
12月:師走(しわす)
由来 | ・師匠(僧侶)も走り回るほど忙しい月という意味で、「師馳す(しはす)」が転じたという説が有力です。お坊さんが年末の法要などで忙しく走り回る様子を表すと言われています。 | ![]() |
旧暦の季節感 | 新暦の12月下旬から2月上旬頃 年末の慌ただしい時期です。 |
和風月名の覚え方3選
それぞれの月の行事や自然のイメージで覚える。1月は正月で家族が集まり、仲むつまじく
旧暦ではなく、今の月の行事や自然のイメージから、覚える方法です。
1月 | 睦月(むつき) | 正月は家族集まり仲むつまじく |
2月 | 如月(きさらぎ) | 寒くて更(さら)に着(き)る |
3月 | 弥生(やよい) | |
4月 | 卯月(うづき) | 卯の花が咲く |
5月 | 皐月(さつき) | サツキの花が咲く |
6月 | 水無月(みなづき) | 梅雨で天には水が無い |
7月 | 文月(ふみつき) | 七夕で文を書く |
8月 | 葉月(はづき) | 葉 |
9月 | 長月(ながつき) | 秋の夜長 |
10月 | 神無月(かんなづき) | 神様の会議で、地元に神様がいない |
11月 | 霜月(しもつき) | 寒くなり始め霜が降りる |
12月 | 師走(しわす) | 年末は師匠も走る忙しさ 年末のニュース「こちら師走の浅草です」 |
五七五のリズムで覚える「むきやうさ みなふみはづき ながかしし」
五七五の17音のリズムで覚える方法があるそうです。
むきやうさ:睦月(むつき)、如月(きさらぎ)、弥生(やよい)、卯月(うづき)、皐月(さつき)
みなふみはづき:水無月(みなつき)、文月(ふみつき)、葉月(はづき)
ながかしし:長月(ながつき)、神無月(かんなづき)、霜月(しもつき)、師走(しわす)
部分的だけど、、、ドラマ:渡鬼(ドラマ:渡る世間は鬼ばかり)にも、ヒントがある
突然ですが、TBSの連続ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』を知っていますか?
私は、大好きで見てました!という訳ではなく、数話だけ見たことがあります。泉ピン子さんら5人姉妹が登場するのですが、この5人姉妹の名前は、和風月名を感じさせます。
長女:野田弥生:長山藍子さん
次女:小島五月:泉ピン子さん
三女:岡倉文子:中田喜子さん
四女:大原葉子:野村真美さん
五女:本間長子:藤田朋子さん
弥生 | ➡ | さつき | ➡ | 文 | ➡ | 葉 | ➡ | 長 |
3月 | 5月 | 7月 | 8月 | 9月 |
全部を網羅していないので、順番が長女から年齢順になっているなと覚えておけば、こんなことになるかも!

現代における和風月名の使用
明治5年(1872年)に旧暦から新暦(グレゴリオ暦)にかわりました。和風月名は旧暦での月の呼び名なので、あまり使われなくなりましたが、俳句、手紙の時候の挨拶、日本の伝統行事など、現代でも日本の季節感を表現するために広く親しまれています。
新暦の月名と旧暦の和風月名では、季節感が1〜2ヶ月ほどずれる点に注意が必要です。
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