まず初めに、北陸の方々、申し訳ありません。私は、北陸から遠い所に住んでいますので、北陸の知識が少ないのです。
子どもと地名から都道府県を当てるゲームをしていると、「越前」が出てきました。北陸だと分かったものの、アレ?何県?となってしまいました。福井県ですよね。二度と忘れません。
「越前」だけじゃなく、「越中」や「越後」なんて言葉も聞いたりしますよね。ざっくり、越前=福井県、越中=富山県、越後=新潟県ですが、実はすごい繋がりがあったんです!
北陸の皆さんには、当然のことかもしれませんが、私には学びがありました。
ドライブ中の疑問。「越前」って何県?
家族でドライブ中に、他の車のナンバーを見て、どこの都道府県か当てるクイズが始まりました。そのうち、車のナンバーだけでなく、トラックなどの車体に書いてある地名から、都道府県を当てるゲームに発展。子どもがいると、一度はやりますよねぇ
都道府県は小学4年生で学ぶので、我が子もとりあえず、47都道府県は知っているはず
なんだったら、”桃鉄”や”にゃんこ大戦争”などのゲームをしていると日本地図は強い?!
「浜松」・・・静岡!
「品川」・・・東京!
「越前」

どこ?

(はっ、どこだっけ??)北陸だよ。。。
調べるっ ・・・ 福井県だって
「前」じゃなくて「後」って書いて、「越後(えちご)」もあるんだよ
調べなきゃ分からなかったけど、私の知ってる情報出して、親の威厳は保たれたか?!
もちろん、わたしの「越後」は「越後のちりめん問屋」です。
はて、越前越後って、よく分からないなぁ
コレは調べなきゃ
【答え】ざっくり 越前=福井県、越中=富山県、越後=新潟県

越前 | えちぜん | 福井県の北部(嶺北(れいほく)地方) |
越中 | えっちゅう | 富山県 |
越後 | えちご | 新潟県の本州部分(佐渡島を除く) |
なんで、「越前」と呼ばれているかと言えば、昔、越前国(えちぜんのくに)と呼ばれていたからです。この越前国というのは、旧国名(きゅうこくめい)と呼ばれる昔の地名です。
昔々の話。日本には「県」じゃなくて「国」があった!
まず、大前提として。
今、私たちが住んでいるのは「〇〇県」などですが、ずーっと昔、奈良時代や平安時代とか、もっと前の時代には、「県」じゃなくて「国(くに)」という単位で呼ばれていたんです。時代劇で「武蔵国(むさしのくに)」とか「薩摩国(さつまのくに)」とか、聞いたことありませんか?
今回調べている「越前(えちぜん)」「越中(えっちゅう)」「越後(えちご)」も、この昔の「国」の名前なんです。
そして、この3つの「国」、もともとはバラバラだったわけではなく、ぜーんぶ合わせて
「越国(こしのくに)」という、とーっても大きな一つの国だったんだそうです!

越前・越中・越後は、もともとは1つの「越国(こしのくに)」。分かれた理由は、管理のしやすさ?!
じゃあ、なんで大きな「越国」が3つに分かれたんでしょう?
その理由は、昔の日本の中心だった「都(みやこ)」(今の京都や奈良あたり)と関係があります。
「越国」は、日本海側に沿って南北にとっても長くて広い国でした。都から見ると、管理するのがすごく大変だったんですね。そこで、効率よく治めるために、国を分割することにしたんです。
なんと、都からの距離で「前・中・後」と名付けられたんだそうです!
- 都から見て一番手前(前)にあるから → 越前
- 都から見て真ん中(中)にあるから → 越中
- 都から見て一番奥(後)にあるから → 越後
雑と言えば雑だけど、分かりやすいと個人的には思います。ナイス!
福井と富山の間にある石川県は『越』がつかないの?
今の石川県には、昔「加賀国(かがのくに)」と「能登国(のとのくに)」という国がありました。この加賀国と能登国は、もともと越前国の一部だったのが、後から独立して新しい国になったんだそうです。だから「越」の名前がついていないんですね。
越前国 | → | 越前国 | 福井県 |
加賀国 | 石川県 | ||
能登国 | 石川県 |
ココまで来ると、北陸4県の残りの地域の旧国名が気になりますね!!残りと言っても2つです。

福井県の南部(嶺南地方) | 若狭国(わかさのくに) |
新潟県の佐渡島 | 佐渡国(さどのくに) |
ついでに「越」がつく美味しいもの、すごいもの!一緒に学べば、記憶の定着に役立つよ
この昔の国の名前は、今でもたくさんの特産品や文化の中に生きているんです。これを知っていると、旅行に行ったときやお買い物のときに、もっと楽しくなりますよ!
越前(福井県)と言えば、越前かにと恐竜博物館
- 越前がに: これぞ冬の味覚の王様!
- 越前和紙: 「日本三大和紙」の一つでとっても丈夫で美しい和紙。古くから最高級の和紙として知られ、現在では抗菌・消臭効果が認められ宇宙滞在用被服の素材にも採用されています。
- 福井県といえば、世界的に有名な恐竜博物館もありますよね!
越中(富山県)と言えば、越中富山の薬売りと立山黒部アルペンルート
- 越中富山の薬売り: 江戸時代から続く伝統的な販売方法で、薬箱を各家庭に配置し、使用した分だけあとで代金を支払うという「先用後利」の方法です。
- 越中八尾 (えっちゅうやつお) おわら風の盆: 毎年9月1日〜3日。前が見えてるのか心配になるほど編みがさを目深にかぶった踊り手が男女に分かれ、民謡『越中おわら節』にあわせて町内を踊り歩きます。歴史はなんと!300年以上。
- 富山県には、巨大な黒部ダムや、雪の大谷で有名な立山黒部アルペンルートも!「越中」の自然のスケールは本当に大きいです。

黒部ダムに一度は行ってみたい。
越後(新潟県)と言えば、お米コシヒカリと越後のちりめん問屋
- コシヒカリ: なんと、みんなが食べているお米の王様「コシヒカリ」の「コシ」は、「越国」の「越」から来ているんですって!これにはびっくり!「越の国で光り輝くお米」なんて素敵な名前ですよね。
- 日本酒: 美味しいお米とキレイな水があるから、新潟はお酒も絶品!「越乃寒梅(こしのかんばい)」など、「越」の字がつく有名な銘柄がたくさんあります(これは酒飲み向けの情報?)。
- 越後のちりめん問屋の隠居:誰もが一度は見たことがあるであろう時代劇「水戸黄門」の主人公水戸光圀(みとみつくに)が、「越後のちりめん問屋の隠居、光右衛門(みつえもん)」と名乗ります。

「コシヒカリ」の「コシ」は、「越国」の「越」からって、初耳!
深ぼってみる
「前・中・後」って旧国名は他にもたくさんある。京都から近い順に付けられた地名
越前越中越後のように、「前・中・後」って地名が付いているのは、「越」だけでしょうか?
いいえ、他にも「〇前」「〇後」と聞いたことがありますよね~
これは、平安時代以降に定められた律令制下の行政区分で、京都からの距離を示すために使われたものです。京都に近い方を「前」、中間を「中」、遠い方を「後」としました。
「前」「中」「後」が付く代表的なものとしては、以下の旧国名があります。
越(こし) | 越前(えちぜん) | 福井県北部 |
越中(えっちゅう) | 富山県 | |
越後(えちご) | 新潟県(佐渡島を除く) | |
備(きび) | 備前(びぜん) | 岡山県東部 |
備中(びっちゅう) | 岡山県西部 | |
備後(びんご) | 広島県東部 | |
筑(つくし) | 筑前(ちくぜん) | 福岡県北部 |
筑後(ちくご) | 福岡県南部 | |
豊(とよ) | 豊前(ぶぜん) | 福岡県東部・大分県北部 |
豊後(ぶんご) | 大分県中南部 | |
肥(ひ) | 肥前(ひぜん) | 佐賀県・長崎県 |
肥後(ひご) | 熊本県 |
「旧」と言っても、旧国名(きゅうこくめい)は今もだいぶ残っている
「旧国名」とは、日本の歴史上、かつて存在した行政区画である令制国(りょうせいこく)の名称です。
現在の日本の行政区画は「都道府県」ですが、明治時代初期に「廃藩置県(はいはんちけん)」が行われるまでは、日本全国は「国(くに)」と呼ばれる地域に分かれていました。この「国」の呼び名が、現在でいう「旧国名」にあたります。
旧国名の始まり=律令制による行政区分
大化の改新(645年)から平安時代にかけて確立された律令制(りつりょうせい)のもとで、日本全国は数十の「国」に分けられました。これが「令制国」です。また、それぞれに国司(こくし)が置かれ、それぞれの国を統治しました。
旧国名の終わり=明治維新による廃止と再編
明治4年(1871年)の廃藩置県により、それまでの藩が廃止され、現在の「府県」へと再編されました。これにより、行政区分としての「国」は役割を終えました。
現在の使われ方
地域名、通称 : 特定の地域の通称やブランド名(例:信州(信濃)そば、備前焼)
交通機関の名称 : 鉄道の駅名や高速道路のサービスエリア名など
気象予報 : 天気予報などでの地域名(例:奥羽地方)
このように、旧国名は行政区分としての役割は終えましたが、日本の地理や文化、歴史を語る上で欠かせない重要な要素として、現在の都道府県名や市町村名、あるいは地域名として残っている場合も多いです。
まとめ
「越前」というひとつの地名から、北陸の色々なことを知ることができました。
- 越前・越中・越後は、昔の「国」の名前。
- 越前・越中・越後は、もとはひとつの大きな「越国(こしのくに)」だった。
- 都からの距離で「前・中・後」と名付けられた。
- それぞれ、福井県・富山県・新潟県にあたる。
- 福井県と富山県の間の石川県、この加賀国や能登国も、越前だった
- 今でも美味しいものや文化にその名前が残っている!
- コシヒカリの「コシ」が「越国(こしのくに)」が由来
普段、何気なく聞いている言葉も、少しでも学んでみると、広く知識を得ることになりますね。
「越前」は今のどこ?という疑問から、調べるとすぐに「越前は今の福井県」と分かります。しかし、越中・越後・越国・石川県の謎、、、芋ずる式に調べることで、知識の定着になるといいですね。
我が子も”越後のちりめん問屋”をどこかで思い出してくれるとうれしいです。
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